大都心~下町~山の手めぐり 14団編

dscn2214スーパームーンにほど近い、まんまるで大きな月が輝く11月12日夜。
今年もベンチャー隊スカウト(高校生年代)向けの第47回ベンチャー50㎞オーバーナイトハイクが13日早朝にかけて開催されました。

この大会の特徴は、9月に指定された地図の座標だけが示されて始まること。
スカウトはこれまで培った「読図法」の知識と経験をもとに事前に地図からその場所を特定し、それぞれのチェックポイントを効率よく結ぶルートを割り出し、何度も下見をして臨みます。
今年参加したタクミスカウトは、なんとぎりぎりまで高校でバスケットボール部でトレーニングをし、制服のまま集合場所に駆けつけて、大急ぎで着替えて出発時刻に間に合ったというつわもの。
健脚であるほかに、この大会には精神力も大いに必要で、下見に来た時には始まっていなかった工事に遭遇したり、天候や気温に対応したり、夜間の疲労でうっかり見過ごしてしまうミスも挽回したりと、一人で走るスカウトも、なかまといっしょにバディを組んで進むスカウトも、それぞれの大きなドラマを感じながらのハイキングなので、周りの方がハラハラしてしまいます。

さて、集合場所はライトアップされた増上寺。
新宿のスカウト3名とガールスカウト1名も加えた、30名でのレースの始まりです。

増上寺から東に向かい、初めのチェックポイントは酉の市が行なわれたばかりの富岡八幡宮。
取材班はスタート地点からスカウト出発後すぐに車で移動したのですが、今年もまたダントツ一位の6団スカウトは通過してしまった後でした。まるで空を飛んでいるかのような速さ。
と、続いてやってきたのはなんとタクミスカウト!
いつもと変わらない淡々とした様子で「一位のスカウト、速いっすね」などと言いながら、でもきっとおなかの中では強い闘志を燃やしながら次のチェックポイントに向けて出発していきました。

富岡八幡宮から、次は富士公園へ。
大きな公園でちょっと場所がわかりにくかったとみえて、ずいぶん差が開いてきました。
タクミスカウトはとっくに2位で通過。14団が本部となっていて、団のリーダーも何人か待機していたので情報をやり取りしながら一緒にワクワクしちゃいました。
その後上妙寺、清光寺と通過し、最大の難所が戸山教会。
新宿第18団の団本部で、疲れもピーク、入り口がわかりにくかったとみえて時間切れでリタイアになってしまったスカウトが続出。本当に悔しいことでした。
ここを何とかクリアしたスカウトは、すっかり見慣れた世田谷区内に入り、赤堤教会で最後のチェックを受けた後、ゴールの成城教会に向かいました。

dscn2219成城教会信徒会館のロビーがゴール。ここにはゼッケン番号の一覧が映し出され、今スカウトたちがどのあたりにいるのかを見ることができます。
世田谷地区のどのスカウトのことも可愛く思ってはいるけれど、やっぱりそこは身内のタクミスカウトへの思いは特別。ハラハラしましたとも。
ゴールを担当している成田隊長ももちろん同じでしたよ。
そして、彼のそばでタクミスカウトの動向を見守っていたローバースカウトも、ベンチャー時代は10位以内入賞を果たした健脚の持ち主。ギリギリでスタート地点にやってくるタクミスカウトの学校の荷物を一式預かる役目を買って出てくれました。

ダントツの一位スカウトが午前2時40分にやってきました。
なんというタイム。誰にも彼には勝てません。
本部待機のリーダーたちに大きな拍手で迎えられ、ちょっと休憩したら「部活があるので」とそのまま自宅に走って戻っていきました・・・。彼は陸上部だそうで、この年頃のスカウトの体力には限界というものがないのでしょうか??

そして約一時間後の3時38分。
ずっと第2位をキープしてタクミスカウトがゴール!
優勝は一歩ゆずってしまったけれど、それでも相当に早いタイムですよね。
眠気もピークだったロビーが一気に沸き上がり、またまた大きな拍手と写真撮影の嵐の後、やっぱり明日は部活の試合だとかでセレモニーを待たずに帰宅していきました。
50㎞走って、仮眠をとって、それでちゃんと試合には出られらのかしら??本当にすごい体力ですよね。

成田隊長は、タクミスカウトのカブ時代はカブ隊リーダーとして彼の様子を見守っていました。また、かつてベンチャースカウトだった頃はこの大会で優勝を果たしている、これまたつわものなのです。
時を経てベンチャー隊隊長となってこの大会に臨んだ彼にも、ぐっとくるタクミスカウトの2位入賞だったことでしょうね。

スカウト時代は19年間。
でも、そのあともまだまだ人と人とのつながりと心の成長は続いていくのです。
ボーイスカウトの団は、地域の中にあって大人と子どもがお互いの成長を感じながら、さらに自らを高めていける場でもあります。