そなえよ つねに

ボーイスカウトのモットーは「そなえよ つねに」
日常の小さなあれこれでも
「ああ、ちゃんと準備をしておけばよかった」
「しまった!忘れてきた!」
と後悔しながら思い出すのですが、自然災害が起きたときにも一番初めに頭に浮かぶ言葉です。
「わかっていたのに、知っていたのに…」
電池や水、食料を求めて買い物に走ったり電気のありがたさに初めてのように気づくとき、慌てないで冷静に対応を考えられる自分でいられるにはどうしたらよいのでしょう。
アルピニストの野口健さんはボーイスカウトでもいらっしゃり、9月26日産経新聞に以下のような連載記事を発表されました。
☆☆☆
度重なる豪雨災害に対し「異常気象」という言葉をよく耳にするが、僕の記憶を遡っていくと、ヒマラヤでも同じような事が言われ続けてきた。あれは確か1990年代中頃だったか、エベレスト遠征中にベースキャンプで雨が降り、驚かされ、またハエが飛んできた時には「エベレストにハエ!」と世界ニュースとして大々的に報じられた。当時、異常現象として話題を集めた、これらの出来事は今では普通になっている。
素人的な発想だが、繰り返されるということは、もはや「異常事態」ではなく、「気候が変動」してきているのだろう。つまり、「変わってきたのだ」と。人は経験則で物事を判断したくなる。今夏の豪雨災害の際も被災された高齢の方々から「こんな雨は生まれて初めて」と。「避難勧告が出されたのになぜ、避難しなかったのですか」とマイクを向けられ、「今までこんな被害は起きなかったから大丈夫だと思った」。
今夏の度重なる自然災害は「たまたま集中した」だけのことなのか、それとも「毎年のように繰り返していく」ことになるのか分からないが「災害はやってくるものだ」と心し、備えていた方がいいだろう。災害に強い街づくりも待ったなしだろうし、同時に災害に強い人づくりも必要だろう。まず必要なことは自分の命を守ること。自分の命を守れてこそ人の命を救えるのだ。そして、この国ならば災害規模にもよるが、3日ないし5日を自力で生き延びれば国がなんとかしてくれる。
そこで1つ提案がある。「生き延びる力」を養うためにも自然体験にもっと目を向けてほしい。自然体験はそれこそ「プチピンチ」の連続である。その「プチピンチ」から人々は生命力をつける。確かタイの学校ではボーイスカウトが授業のカリキュラムに含まれている。合宿への参加も義務付けられており、その過程をクリアしないと進級できないとのこと。日本ではボーイスカウト人口が年々減少し続けている。様々な習い事も結構であるが、「勉強できる」ということよりも「生き延びる力」の方が大切ではないだろうか。
☆☆☆
小学校高学年からのボーイスカウト活動では、野口さんの書かれている「プチピンチ」を体験していきます。
今あるどんなこともあたりまえではないと知る時、感謝の気持ちや仲間のありがたさ、自らに備えるべき力や知恵に目を向けることができます。
自助のできる人は周りの人をたすける力も発揮することができ、人と人がつながる力になっていく。
ボーイスカウトのめざす「世界の平和」は、小さな一歩の積み重ねから生まれるのだろうなと思います。
大型の台風24号が世田谷にも近づいてきています。
充電、水や食料や夜中の灯りなどの備えも万全にし、みなさまどうぞお大事にお過ごしくださいね。

2018/09/30 | カテゴリー : コラム | 投稿者 : AH