「50㎞」の先には

DSCN1798高校生年代の子どもたちは勉強に部活に委員会活動にと日々大忙しで、もちろん学校の友だちとのつき合いも欠かせない。
そんな日常に追われている中、たいてい水曜日か木曜日の夜、リーダーから電話が。
「あ、もしもし?元気?今度の日曜日ってあいてる?手伝ってもらいたいことがあるんだけどな」
なんて言われると(うわあ…また呼び出しかよ…。でも、あのリーダーにはお世話になってるしな。断ってばかりなのもやばいし。ま、暇は暇なんだけどな…)などと考えながら、ちょっとめんどくさそうな声で
「あ、はい、行きます」
とつい答えてしまうらしい。
もちろん、学校行事や試合、体調不良、時にはデートもあって、そういう時はきちんと断ります。リーダーだってそのあたりは心得ていて、「じゃ、またな」とあっさりしたもの。
電話での短い会話でも「そうか、それなら仕方ないよな」と相手にすんなり納得してもらえるよう説明できる技が、いつの間にか磨かれていくのが、実はベンチャー隊のおもしろいところ。
「あれもこれも、やることが多すぎて、疲れちゃって、もう無理」
と切り捨てるのではなく、どうしたらうまく両立ができるか?あるいは、どちらを選択するべきか?といった自分の時間の使い方の訓練ができる隊といえるかもしれません。
年齢差のある仲間が一緒に活動しているのには意味があって、小さいころとはまた違った味わいがここにはあります。

DSCN180611月7日夜~8日早朝にかけて、世田谷地区内のベンチャースカウトが6つのチェックポイントを通過し、ゴールまでの最短距離と時間を競う「ベンチャー50㎞オーバーナイトハイク」が行なわれ、14団からは3人が参加しました。
時間の隙間に念入りに下見をしたスカウトもいれば、きっちり地図を頭に叩き込んできたスカウトも、もうとにかくそちらは仲間に任せ、何とか当日だけでも!と参加したスカウトも。
小さいころから14団で活動を共にしているだけあって、すでに阿吽の呼吸は完ぺき。駒沢公園を出発し、代々木公園を経て北の丸公園に向かう道すがらもなんだか楽しそうに歩いているのが目撃されています。第2チェックポイントには14団リーダーが8団リーダーとともに待ち構えていて、こっそりやって来た団委員長からもエールをもらって出発。
6団の俊足陸上部のスカウトのようにダントツ首位でゴールまでまっしぐら…というわけにはいかなかったけれど、とにかく途中までは3人で夜中のハイキングを楽しんでいたようです。

ベンチャー50㎞は、チェックポイントの場所だけが明らかで、どのルートをとるかは個人の自由という、時には孤独で過酷なレースなので、気温低下で体調が急に悪くなったり、うっかり曲がるべき道を一本間違えたりと何が起こるかわからない。3人はお互いのペースもあっていつしかバラバラになって、ひたすら次のチェックポイントをめざして走り続け…心底悔しい思いをしたり、意外とがんばれて満足だったりと、それぞれの思いを持ってゴールを迎えました。
なにをおいても、参加したことが素晴らしい。何かを体験すれば、必ず得られるものがあるのもすでに経験済みのようで、何とか9団本部のあるカトリック赤堤教会に設けられたゴールまで戻ってくると、温かい拍手や励ましの声に迎えられてにっこり。一室であたたかい飲み物や食べ物を振舞われ、ともに走った他団の仲間たちと「あのチェックポイントまでのルートはどこをとった?」「だいたい、第5チェックが遠すぎるよな」「そうそう、第6チェックを横目で見ながら八王子まで行くなんてひどすぎね?」などと興奮しきって話すのもおもしろい。あちこちが痛くてつらくて、しかもものすごく眠いのだけどなんとも言えない連帯感も心地いい。住んでいる場所や学校や所属団がちがうなんて、全く関係なし。
狭い世界に閉じこもらず、ボーイスカウトを通じても未知の体験をたくさん味わいつつ、目下お茶目度満点のベンチャースカウトたちも順調に成長中です!

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