ローバースカウト、空を舞う

20160327-134022私はローバー隊の隊員として、春キャンプに参加しました。

自分は全日程参加したかったのですが、予定があったため1日だけの参加で帰ることになってしまいました。
2日目の朝、キャンプ場を出発して秦野市のお祭りで「パラグライダー体験」の手伝いとして参加することが当初の予定でしたが、ボーイスカウトOBのご厚意により「タンデム飛行」をすることが決まりました。そのお話をいただいたときは全てがうまいこと進んでいくので、何かおかしいと思っていました。というのも、前日のキャンプは人生初のリーダーサイトという環境でのキャンプだったので、今まで経験していたキャンプ生活の中でも、最も楽で充実したキャンプだったからです。
美味しいご飯を食べて楽しく過ごせた後に、子どもが乗ったパラグライダーのロープを引いただけで空を飛べることになり、うまくいきすぎていると思いました。これが『何かおかしい』の正体です。

20160327-101433お祭りの終了後、パラグライダークラブのみなさんとともに離陸するための台がある山へ登り、とうとうその時が来ました。
今まで自分たちがいた街が小さく見え、『本当に飛ぶ』ということがじわじわと伝わってきました。

そして、離陸の時が来ました。
クラブのみなさんが風を読んでいるなか、パイロットの方に「離陸するときは走り続けてください」と言われ、少し不安な気持ちになりました。なぜなら、台の先には何もないからです。
「なにもないところに向かって走れ」というのは、素人には厳しい要求です。また、失敗したらどうなるんだろうということも、私の心を不安にさせました。なぜなら、失敗した時のことが説明されていなかったからです。
そんなこんなで、「いざ飛ぶ」という時も、戸惑いを隠せませんでした。

20160327-161059しかし、心の準備をする暇もなく風は来てしまいました。

突然3秒のカウントが始まり、余計なことを考えている暇はなくなりました。
結局、不安なままカウントがゼロを迎えてしまい(どうにでもなれ)という気持ちで走り出しました。
そして離陸は成功し、パラグライダーはゆっくりと滑空を始め楽しくも一瞬な時間が始まりました。

飛行中は難しいことなど考えられず、ただ『凄い』という簡単な単語だけが頭にあり、見るものすべてが新鮮で、時間も忘れてしまうほどでした。
また自分はその瞬間を写真におさめようと写真を撮り続けていました。今思えば携帯の画面を見ていた時間の方が長かったように思え、もっと肉眼に焼き付けておけばよかったと後悔しています。
そのためまた空を飛びたいと思っています。

20160327-162132そして何より、この体験を他のスカウトにもしてほしいと考えているので、このような貴重な体験を提供してくださるOBのみなさんとの関係をたいせつにしていきたいと思っています。

*塚本 祐 記*

注・春キャンプは3月26日~29日丹沢のBOSCOキャンプ場にておこなわれ、ボーイ隊、ベンチャー隊、ローバー隊が参加した。